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日本国憲法は、福祉を非常に重視しており、全ての国民は平等で最低限度の文化的生活を保障されています。
私が来日した頃の日本のキャッチフレーズは「福祉社会」で、英国の「ゆりかごから墓場まで」を目指していましたが、今はそうではなくなりました。
お金がなければ病院も3ヶ月以上はいられません。民営化で水道代は3ヵ月払わなければ止められます。ガス、水道、電気は生命のパイプで、それが止まることは死ねというのに近いです。
これは私利と公益、この混同なんですね。これも、日本を非常に弱体化しているものの一つです。
先日も餓死者が出ていましたが、そういったことは、民営化する前からある程度想定された上で、利権を最優先に考えて行われているとすれば、その方向に導いた政治にも問題がありますし、そのことに気がつかない国民も、私は平和ボケしていると感じています。
ペマ先生はこれからの日本経済を、どう捉えておられますか。
政治学者の立場から一つだけ言わせていただくと、経済はある意味で生き物ですから、アベノミクスによって国民が少なくとも今、前向きになってきたと言えます。企業もお金を設備投資や社員の福利にも回せるようになっています。
また、安倍首相は自分の足場を固めるという意味で初めてアジアを重視していることが、それなりに評価されていますから、大切なことは、これを継続していただくことです。
しかし、消費税については首相の経済顧問の人達でも考え方が一致していませんし、もちろん多くの人達の意見を聞くことも大事ですが、だからといって全ての意見を活用しようとすると、まとまらなくなります。
いち個人の立場から見ても、本当の使い道をきちんとしないと、物事が動く時は便乗して色々なものが入りますから、そういう意味での危険性を感じますね。
同感です。私もアベノミクスには期待していますが、少なくともこれまでの成果データでは、一部の大企業を除いて、実感がないということがあるようです。
また、世界を席巻している無国籍化した大きなワンワールド的な新自由主義という権力が、アベノミクスを利用して、すべての利権を持っていくのではとも思えるのです。
もちろん一国の問題は世界の問題、世界の問題は一国の問題ですが、これだけ大きな力が意図的に仕掛けているとすると、日本の国民が仮に意識変革をしても、果してそれに対抗・対処することができるのかと。
もちろん国民一人一人が目覚めれば、大きな力になり得ると思いますが、そのリーダー的存在も今は、欧米に染まっているように見える人が多い。
そんな中で、先生はこれからの日本には何が必要だと思われますか。
次回へ続く