9つの立国構想

CMF対談


   夢対談 時代の曲がり角


心をなくした日本文化
加瀬

戦後の日本が、国の伝統精神を疎かにして、身分不相応な消費生活にうつつを抜かして、大切な心を忘れてしまったことによると思います。


西洋かぶれになって、西洋式がいい、便利なものがいいと思っていますが、心の大切さを省かない、本当は不便なもののほうが大事ですね。


木原

物で栄えて心で滅びるということですね。デジタルは確かに便利ですが、機械的で温かさがありません。時計一つ取っても、毎日ねじを回す中に物への愛着を育てる心を養っていたのではと。


加瀬
夢対談 時代の曲がり角

また、政教分離も今の日本をおかしくしてしまっている一つです。これは占領下で、マッカーサー元帥が日本固有の神道を国教として廃止することを日本に強いたことによります。


しかし、共産国を除き全世界で、国や地方自治体の行事を、無宗教で行っている国は日本だけです。国が心を否定する唯物論、無神論を宣伝して良いものでしょうか。真っ当な社会を支えているのは、道徳よりももっと深い宗教心だと思います。宗教心があってこそ、徳性が高く磨かれるのです。


木原

同感です。最近は宗教というと顔をしかめる人が多いので、私は「宗教性」と言っておりますが、本当の宗教とは何か、信仰とは何か、日本の神道がどんな成り立ちで出来て、他の宗教とどう違うのか、という啓蒙の必要も感じております。


また、国際社会において海外で無宗教と言うと野蛮人と言われ、入国ができない国がある事を知らない日本人も多い。


加瀬

宗教と言う言葉は、明治に入って20~30年が過ぎて出来た言葉です。日本では、宗派・宗門・宗旨といってお互いの信仰を尊重しあって共存してきました。


夢対談 時代の曲がり角

諸外国では、自分だけが正しく相手は正しくないから滅ぼすという考え方ですから、戦争や宗教間の争いが今も絶え間なく続いています。


中世ヨーロッパの宗教裁判では、火あぶりになって殺された人が30万人以上という記録があります。


日本で宗教的な理由で処刑をしたのは、例外として秀吉と、徳川初期にキリシタンを4千人殺していますが、それには理由がありました。


織田信長も秀吉も、最初は宣教師を大歓迎しました。しかし、宣教師に煽られて日本のキリスト教徒が神社仏閣を襲撃し放火・破壊する。ザビエルたちキリシタンは日本の若い男女を捕まえて、鎖につないで奴隷として外国に売って金を儲けた。だから秀吉は我慢できなくなったのです。


木原

宗教という仮面をかぶった人身売買ですか。現代もそうですが、原発をはじめ本当の情報が知らされていないというのは、恐ろしいですね。


先生はジョン・レノンさんと結婚したオノ・ヨーコさんと従兄でいらっしゃいますね。「イマジン」という歌の歌詞には「天国も地獄も国も宗教もなければ平和になる」とありますね。


加瀬

あの歌は、キリスト教会から総スカンでしたが、世界中の若者の心をとらえて大流行しました。あの詩はジョンとヨーコが作りました。


木原

実現するには難しいでしょうが、この歌詞のようになって欲しいですね。


次回へ続く



外交評論家/(社)日本文化協会 会長 加瀬英明