9つの立国構想

CMF対談


   夢対談 時代の曲がり角


新しいシステムの構築を目指して
木原
矢作先生は、病院内の機能向上の様々な改革も推進され成果をあげておられますね。コードブルー・入退院管理センター担当医師の配置・地域医療連携部の創設・院内危機管理体制の整備・救急病棟申請などなど。これから取り組もうとされていることはありますか?

矢作
まだ構想段階なのですが、よい暮らしや社会を実現するための「バイタルケアネット」という命を守る新医療システムを作りたいです。そのためには救急医療のありかたの根本的な見直しが必要です。

医療システムは国によっても特長が違いますが、私が目指しているのは、病院や開業医が救急病院として登録し、救急の連絡が入ると、どの病院に運べばよいか連携するシステムです。

木原
日本の医療制度も、将来的には崩壊するとの懸念がありますが。

矢作
国民医療費は2011年、約38兆円です。今の病院は、病気になってから来る所ですが、病気になる前が重要なのです。

早期に対応すれば、今まで助からなかった人が助かったり、入院する人や救急出動回数も減る。これは医療費の抑制にもなります。そのためには、病気にならないケアが必要です。

木原
このことは、現代社会のあらゆる問題に当てはまりますね。また、これからの時代は、生涯現役で働くということを意識しないといけない。

矢作
患者さんご自身の意識は大切で、治療の結果も左右します。体質・生活習慣に心が関わって、自分で自分を病気にしている側面は否めません。そういう意味でも霊性教育は必要です。

また医療現場では、患者さんの衣食住は軽視しがちですが、根本的な治療のためにも、医療に衣食住を持ち込む考え方を「衣食住医」と呼んでいます。

木原
現代医学は「科学」を最優先する西洋医学に偏重しているようですが、それについてはどうお考えですか?

矢作
矢作直樹 日本の医療制度はすべての国民が受けられる点では優れていますが、もともと日本で発達していた本草学や伝承医学は排除されたままです。

イギリスでは、西洋医学に代替医療を合わせた「統合医療」を半世紀以前から行っています。アメリカでも国立衛生研究所で代替医療が科学的に研究されており、この分野でも日本は遅れています。

自分の身体は自分で守る意識が必要ですが、日本人はこうした意識が薄いので、意識改革を行いながら、消防・医療機関・公共・民間を問わず、様々な関連機関と擦り合わせを行っていかなければなりません。

木原
先生は医療という分野から改革されているようですね。同じように一つの分野からの改革を推進している団体は多いようですが、それでは根本解決しないほど難問が山積し、環境も生命も社会も崩壊の危機にあります。

矢作
同感です。地球を食い尽くすような生活を、反省しなければいけません。資源も無尽蔵ではありませんし、医療においても、人の生活においてもムダは沢山あります。

木原
私は1992年から日本文明・文化の礎である宇宙森羅万象の普遍性=むすひを根幹として、宇宙本位(コスミカリズム)にもとづく、共尊・共生・共育の祀祭政一致の精神で、日本人をしあわせにする9つの立国構想をかかげ改革を推進しています。

現代社会の問題を突きつめると「人」です。だからこそ、「あらゆる生命と共尊する意識変革」が必要だと考え、人間教育・霊性教育を。また、今の社会のあらゆる問題は「経済」と繋がっていますから、「共生の経済変革」が必要だと。

そして、その社会の仕組みづくりは、国連憲章そのものになるのですが「社会を共育する社会変革」をしようと。

現実は理想にはほど遠くありますが、矢作先生にも、是非ご賛同いただきたく存じます。

日本の未来、子供達の未来のために、多くの専門分野の方々にもご賛同・ご協力いただき、産・官・学・民・行・政と一体となって、国民運動にまで高めていきたいと日々、東奔西走している所です。

本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。矢作先生の今後、ますますのご活躍を期待しております。


東京大学大学院教授 矢作直樹