9つの立国構想

CMF対談


   夢対談 時代の曲がり角


日本の国体を見直す時期に来ている
木原
話は変わりますが、先生はご多忙のなか、『天皇陛下の国』という本を執筆しておられるそうですね。お医者様である先生が何故なのですか?

矢作
東日本大震災で天皇陛下の行幸がどれだけ世界に影響を与えたかという所から、日本古来の国体が大きな意味を持っていて、それが明治維新の頃から入ってきたグローバリズムの中で拝金主義・物質主義になってしまって、大切なものを失っています。だから、もう1回見直して真実を知りましょうと。

木原
陛下はお身体がお悪い中、被災地に何度も足を運ばれていらっしゃいました。涙が出ます。

国民の幸福を祈ったり自らが田植えをされたりと、欧米の国王とは根本的に違い、日本国の神官でいらっしゃる。

矢作
全て国民の為にやっていらっしゃる訳ですから、一人の国民として、この本を出すことに意義があると捉えています。

私は、国家神道には問題があると思っていますが、日本古来の神道は、日

本人の霊性そのもので生活の中に定着しており、いいところが沢山ありました。そういう民族性の凄さに得体の知れない恐怖感を抱いたGHQは、日本人を骨抜きする戦後政策を実行したのです。

木原
日本人に謝りたい そのことは、当時マッカーサーの政策に関わったモルディカイ・モーゼというユダヤ人の方が著著『日本人に謝りたい』で書かれています。

矢作
明治の廃仏毀釈やGHQの神道解散も、日本にとっては大きなダメージになりました。日本の戦後はアメリカの洗脳圧力に負けたのです。

それだけ日本人の霊性は本来、ものすごく強いということです。それを取り戻す時期が来ていると感じます。

木原
日本人は、世界中のどの国よりも自国を誇れない民族になっています。日本の文化はすべてダメ。言論の自由と言いながら、真実を書いてもタブー視されるモノがある。

日本は建国約2700年、天皇という同民族の君主が連綿と続く国もまた、欧米では奇蹟と言われているのに、日本人こそ、そのことを分かっていない。歴史を失った国は崩壊するというのは世界の歴史学者が言う常識です。

日本人の意識を覚醒させたいというのが、私が財団を作った目的の一つでもあり、そのために「国を創る」には、まずは「人づくり」ということで、今は霊性教育に力を入れています。

霊性とは、宇宙森羅万象の普遍性であり=多様性の融和、それを「むすひ」と言っているのですが、そのことを理解することが必要なのです。

その意味で、見える世界中心の科学と、見えない世界の宗教の融合が望まれます。生命体は、見えるものと見えないものの全人的融和体だからです。

矢作
私もそのような教育の必要性を痛感していますが、今は俯瞰図的にものを考え、統一的に見る、そういう教育が無いのです。これでは欧米には太刀打ち出来ません。

木原
細分化されすぎて、スペシャリストはいても、ゼネラリストはいない。今こそ地球圏・人間圏の目線から宇宙圏という全体からモノを見る重要性を、私も感じています。

日本の国体は何か、日本のアイデンティティは何なのか。憲法改正も、環境・社会・教育・家庭など、あらゆる問題も、そこを踏まえた上で見直さなければならないと思っています。

また、人の生き方においても、日本古来の宗教観である、人やモノへの感謝を遡っていくと、宇宙そのもののリズム、自然の摂理に沿う生き方なのです。それが日本の自然と人が共生する、モノを大切にする、少ない資源を生かす。それこそエコロジーの原点というべき、素晴らしい発想や創造力・文化が日本にはあります。

その歴史からして、もっと世界を引っ張れるものがあると私は感じています。そのためにも、日本の霊性=教育は重要と捉えています。

矢作
同感です。

日本語一つとっても、まず日本の霊性があって、日本語を通して世界に意識を伝えるのが日本の意義と私も思います。

(次回へ続く)

東京大学大学院教授 矢作直樹