9つの立国構想

CMF対談


   夢対談 時代の曲がり角


摂理に沿った、日本人の霊性を取り戻せ
矢作
木原先生の『縁因果の法則で運命は決まる』のご著書ですね。

欧米では今、科学者が心霊研究に取り組んでいて、生まれ変わりも多くの学者が認識するところです。代替医療への関心も高いのです。

本来このような分野は、日本人が生活の中に自然と持っていたものなのに、残念ながら明治時代に古来の思想を捨ててしまいました。

木原
それに戦後の影響ですね。

日本人は、世界に類を見ない豊かな文明・文化を縄文時代より1万年の長い歴史から創り上げてきました。

古来から宇宙森羅万象に神々の存在を感じ、あらゆるモノに命があるという精霊崇拝(祀)、自然を畏敬し共生する自然崇拝(祭)、そして物事の成り立ちを大切にする祖先崇拝(政)を大事にしてきた民族です。

矢作
矢作直樹 日本人は霊的感覚に敏感な民族と言われてきましたが、このような時代だからこそ、霊的な存在の大切さに理解を深めるべきだと思います。

「人はいつか死ぬ」という当然のことを忘れている人も増えました。いくら医療が進歩しても死は決して避けられないのです。

木原
そういう領域を「宗教」だと、今の日本人は毛嫌いする傾向がありますが、先生は公然と言われていますが大丈夫なのですか?

矢作
この程度でビックリされては困ります。特定の宗教ではなく、人智を越えた大きな力、それを宗教では神と言いますが、私は「摂理」と呼んでいます。日本人はよく無宗教だと言われますが、木原先生の言われるように森羅万象に神々の存在を感じ、死者の霊の存在も信じてきた歴史があります。

私は救急医療の現場にいて、様々な死を目の当たりにし、嘆き悲しむご遺族の姿を見てきました。

しかし、人は摂理に生かされており、肉体は滅んでも霊魂は永遠である。亡くなった人の霊にいつも自分は見守られている。そのように考えれば、生きている限りは感謝の気持ちを持って生きられ、死に直面してもあわてずに済むのではないでしょうか。

またそうなってこそ、本当の意味で心の豊かさを掴むことができると私は思っています。

木原
現代人は、本当の豊かさとは何かを忘れているようです。戦後の日本は、その文明・文化があったから経済的にも豊かになれたのに、そのことを逆に捨て去ろうとしている。

また家族間の殺し、犯罪の低年齢化をはじめ、経済・精神・文化・健康等々、まさに物で栄えて心で滅ぶ如く、日本人の霊性の低下は目を覆うばかりです。

東京大学大学院教授 矢作直樹