9つの立国構想

CMF対談


  夢対談 時代の曲がり角


天皇の国師 三上照夫の「第三の文化論」
高橋

いや、とんでもない。ほんとにすごいことをされてるんですよ。

木原理事長の世界はすごい。

このすごさがどうしたら凡人にわかるか…ですね。

私は、昭和天皇の国師と呼ばれた三上照夫先生にご縁があり、三年間多くのことを学びましたが、師が人生の集大成として完成を目指された「第三の文化論」という世直し論があります。

師が説かれた破滅への二つの道とは、

一、自由を求めるあまり平等を失った社会
一、平等を求めるあまり自由を失った社会

というものでした。

これらの既存の社会システムに替わる新しい道を人類は歩み始めねばならない。

そしてそのカギを握るのは日本人であると。

それが生涯を通じて師が提唱した「第三の文化論」です。

それがそのまま木原理事長の世界につながるわけです。

これは本当にすごいことです。


木原

先程見て頂いた『檄』シリーズは、昨年発刊しましたが、シリーズ弐では文明論・国家論から世界の潮流はどう動くか、日本の文明観・社会観などをまとめています。

欧米文明と日本文明のどっちが正しいかではなく、どちらが持続可能な社会を築けるかという視点です。

日本を見直そうということですね。

そして、シリーズ参に「9つの立国構想」を、シリーズ24の再生」についてまとめています。

この三十年間に研究を重ねた集大成の書として、満を持して発刊したグランドビジョンなんです。

すでに「3つの人づくり」部門は具体的に指導をしておりまして、今財団をささえているのが、これまで経営学・人間学・家族学を学んだ方々です。


高橋

私が思うには、事業構想を作るのも人なら、動かすのも人で、やはり順序があると。

国づくりをするにも人がいなければできないでしょう。

ところがこれを社会の中で訴えるのが大変です。

力を持っている人は、すぐ「国づくり」のほうに目が向いてしまう。


木原

おっしゃるとおりです。

例えば政治家も、真剣に考えてやっている方もおられるとは思うのですが、いざとなると難しい。

一対一で話せば「その通り」となるのですが、いざ動き出すと権益の中にいますから身動きがとれない。

高橋先生が、〝天皇のスパイ〟と呼ばれたベラスコから、直接聞いた内容をまとめられた『天皇のスパイ』も拝読させていただきましたが、国益や国防についての視点などを学ばせていただき、大変勉強になりました。



おわりのはじまり
高橋

私はこのような木原学というか木原ワールドは、夢物語などではない現実の話だと感じています。

要するにこれを呑み込めるかどうかですね。

そうすると、やはり人です。

世間ではよく、人ではなく学歴だとか、会社の規模だとか、給料の額だとか言いますが、何を言ってるんだと。

こんなことが罷り通っているのを見て「日本はもう終わった」と言っている私のような者もいれば、木原理事長のように「始まった」と言う者もいるかもしれない。

これは始まっているということなわけですね。


木原

その通りです。これはもう始まっています。

私はこの運動をライフワークとしてはいますが、次の世代も育てなければいけない。


高橋

そうなんです。

次の世代へのバトンタッチをしなければならない。

それも計算にいれてやらなければ欧米には太刀打ちできません。

西洋人は親子五代・六代に亘ってプライベートファイナンスというものを持っています。

まさにこれですね。

「お宅とはひい祖父さんの時から付き合いがあるよ」と、台帳も残っているわけです。

この力はすごいものです。


木原

彼らは二百年、三百年のスパンで考えていますから、普通では勝てない。

だからこそこのような構想でネットワークを組み、つながっていくことが大切です。




高橋五郎