CMF対談

縁・因・果の法則で運命は決まる【国際問題アナリスト 藤井厳喜】

【藤井厳喜(ふじいげんき) 国際問題アナリスト 【藤井厳喜(ふじいげんき) 国際問題アナリスト】
1952年東京都生まれ。
'77年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、 クレアモント大学院政治学部(修士)を経て、 ハーバード大学政治学部大学院助手、 同大学国際問題研究所研究員。

現在(株)ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン代表取締役、 拓殖大学日本文化研究所客員教授、 警察大学校専門講師、 モンゴル国際経済商科大学客員教授、 日米保守会議理事・事務局長。
藤井
出版おめでとうございます。 出版記念講演やセミナーにも出席し、本も読ませていただき、 唯物論科学的ではないですが、明らかに運命には法則があるということを、 既存の学問の幅を超えて、 永年運命論を研究されている先生にお教えいただき納得いたしました。

木原
国際派として活躍されている藤井先生に評価いただき光栄でございます。 21年間、延べ約8千人に教えてきた究極のエッセンスを、この度初めて公開しました。 この本は、できるだけ学術的・宗教的な表現をさけ、 図解を入れて極めて科学的にシンプルにまとめましたので、 2時間もあれば一気に読めると思います。 ただ、真髄を掴んでいただくために、 最低でも7回くらいは繰り返して読んでいただき、 できれば体験講座である「ワクワク未来創造セミナー」に ご参加いただければと思います。


21世紀の新しい運命論
藤井
まず驚いたのは、成功と幸福の概念という 『生命づくりの8分野」と『生活づくりの8分野』ですね。 聞けばなる程と思うのですが、 私自身このようなことを考えたこともありませんし、 万人が見落としているところではないでしょうか。

木原
私も職業柄、宗教を始めいろいろな成功・幸福論を研究しておりますが、 すべての成功・幸福論にはこの視点が欠落しています。 これでは真の成功・幸福は実現しないのです。

藤井
一番驚いたのは「縁」の存在ですね。 私も多少精神世界を研究しているつもりですが、 「因果」や「因縁」の法則というのは知っておりましたが、 『縁・因・果の法則』は初めてでした。 運命は、「縁」が誘発して「因」となり「果」を生み出す。 しかも、その「縁」は「不可選択」であると聞き、 これは21世紀の全く新しい運命論であると驚愕を覚えました。

木原
この「学説」を発表する迄に、 真言密教の教義の研究や行法・滝行・断食行・瞑想などの実践を始め、 生命医学・心理学・科学・仏教唯識学・波動学・気学・分子生物学・量子力学・大脳生理学・ヨガ・・・ 様々な分野を研究し、ついに宇宙に行きつきました。 そして運命は、はじめに「縁」があり「因→果」で循環することを確信したのです。

藤井
先生の言われる通り、私たちの生命の誕生すら親を選択できていませんね。 しかし、「縁・因・果の法則」を知れば、運命は変えられると思って良いのですか?

木原
そうなんです。唯物論科学では、「縁」と「因」の微妙な違いは たぶん理解できないでしょう。
「縁」は極めて「ファジー的偶然」「多様的瞬間」なもので、 私はそれを「ムスヒ」と呼んでおり、日本的霊性でもあるのです。 仏教的表現をするなら「無常」「空」に近いものです。 車のハンドルでも、僅かな遊びがあるからこそ安全運転ができるように、 「縁」は運命の大きな鍵を握っています。

藤井
そうですね。かつての科学では、因と果は1対1に対応していますが、 最先端の科学では、そこに「曖昧さ」とか「歪み」を認めていますね。 はっきり形になる原因、その前に無定型で動いているものが「縁」ということですね。 これはノーベル運命学賞に匹敵するのではないですか?(笑)
科学の世界で解明されつつあることを、先生は既に発見され、 しかも、運命の法則として説かれている。 これは、新しい21世紀の宗教の理想でもあるのではないでしょうか。

木原
宗教の理想も人間の幸福ですから、 このことが判れば、宗教観は大きく変わると思います。
「縁・因・果の法則」は宇宙森羅万象の普遍性、 つまり自然の摂理そのものです。 私は、宗教はもう一度、その原点に帰るべきだと思います。 また、地球レベルで起こっている難問も必ず解決できると思っています。 なぜなら、根底にはほとんど宗教がありますから。

甦れ日本の文明力
藤井
私はハーバード大学に留学中に「文明の衝突」で 世界的に著名なサミュエル・ハンチントン教授と話したこともあり、 職業柄いろいろな分野を研究しておりますが、 現在の国際間の難問を突きつめれば、 文明の衝突の真実は「宗教の衝突」と言えるのではないかと思っています。
先生は昨年「誇れる国づくり魅力ある人づくり」も出版されましたね。 あの本には縄文時代から培われた日本民族のファジーさが 世界を融和させる役割があると書かれています。

木原
そうなんです。昨年の本は、混迷を極める日本国再生の「グランドビジョン」です。 具体的な「アクションプラン」までは踏み込めていませんが、 「日本的霊性への回帰」の急務を説いています。
ハンチントンさんは「文明の衝突」の中で、 「孤立国家日本」と書かれていますが、私は逆だと思います。 そのうち文明が接近せざるをえなくなると思いますが、 どういうふうに接近するかとなると、 日本文明の潜在的可能性は凄いと思います。

藤井
まさに日本の文明力ですね。 しかし、日本人自身がそれを忘れている。

木原
今の日本の危機はそこにあります。

藤井
日本人が忘れかけている日本人としての霊性をいかに再構築するかですね。 ご著書を読ませていただき、昨年出版された 「誇れる国づくり魅力ある人づくり」 との連動性も理解できました。

木原
私が藤井先生を尊敬しているのは、そういうところなんです。 世の中には一分野的スペシャリストはいても、 全分野的ゼネラリストはあまり見受けられません。 先生は正にゼネラリストとしての洞察力がおありだからこそ、 縁・因・果の法則もご理解いただけたのだと感謝しております。 また、警鐘を鳴らす賢人も沢山おられますが、タレント化していたり、 自ら行動を起こしている人はほとんど見受けられません。

藤井
その点、先生の行動力には頭が下がります。 現代の弘法大師空海だと思いますね。(笑)

木原
過分なるお褒めの言葉をありがとうございます。 藤井先生には是非とも 「誇れる国づくり魅力ある人づくり」のために 先生がこれまで培われた国際的叡智を賜りたいと存じます。

藤井
私も木原先生と輪円相応であり、 この日本国のために微力ながらお手伝いしたいと念願しております。

2008年4月11日 産経新聞 掲載