
早急な改善策は如何にすべきか
A、平成17年度は耐震強度偽装事件で終わりました
この一年間は、有名私鉄の首領、大財閥の自動車会社、同じく大商社、同じく大銀行による倫理道徳不在の反社会的犯罪行為の連続でした。大会社のトップがこの有様です。丁度一年前、筆者が浜松市で「道徳心なき経営者は滅びる」という講演をしましたが、残念ながら予想は的中してしまいました。
B、幼い小学生の女児が犠牲となる事件や学校内での殺傷事件も連発しました
学校関係の事件が起こる度に、行政側から「防犯ベルの携帯」と「学校警備員の派遣」が提案されます。マスコミも当然のごとく報道します。 教育問題は討議されずに、警備問題ばかりが先行します。文部科学省ではなく文部警察省になり下がってしまいました。
C、「ニート」が、行政の大きな問題として浮上してきました
「ニート支援」のために、国が人件費と事業費を負担して、「地域若者サポートステーション」を設置し、常駐のキャリア・コンサルタントのほか、臨床心理士などを配置するのだそうです。一体、厚生労働省や文部科学省の高級官僚の頭脳の中身はどうなっているのでしょうか。 「ニート」の根源を無視して、場当たり式のこんな「ニート対策」が効果があると本気で考えているとしたら、涙がでるほど情けない話です。
D、世間を騒がせた不良行為・反社会的行動・犯罪事件には、青少年ばかりでなく、大人も、いや国民の多くが関わっています

その訳は、学校での道徳教育・国民教育を廃止してから60年も経って、本来の日本の歴史・伝統・文化を体得している日本人は、70歳以上の少数派だけになってしまったからです。
また、GHQ(日本占領軍)による日本弱体化政策の実態を知らない世代が多数派を占めたからです。 平成17年10月に発行された『GHQに没収された本』(サワズ出版株式会社)によると、占領軍は、なんと7700点(冊)という途方もない大量の貴重な日本の歴史・伝統文化に関する著作を没収して、日本人の目に触れないように文化大弾圧を断行したのです。世界史でも稀な、20世紀の『焚書事件』です。
E、平成18年度は『人の心はお金で買える』(稼ぐが勝ち・光文社)で一世を風靡したホリエモンこと堀江貴文氏が『偽計取引、風説の流布』の容疑で逮捕の事件で始まりました
敗戦以来の、間違いだらけの日本の教育が生み出した最高傑作の『象徴』が堀江氏の出現でした。 その堀江氏を政権担当の自民党が衆議院選挙に担ぎ出し、財界トップの経団連が会員にし、本来批判すべき立場のマスコミまでが新時代の寵児として持て囃しました。 日本の教育の崩壊ここに極まれりです。もう、教育基本法の改正を気長に待ってはいられま せん。例え法的に改正されたとしても、敗戦以来61年間の積弊を払拭して、本来の日本の「まともな教育」を復活するまでには大変な時間を必要とします。 可能なところから、地道な教育改善の国民運動を始めましょう。
日本の教育崩壊の元凶として、講演会では10項目を挙げていますが、ここでは紙面の都合で5つだけ簡単に言及します。
1、『国家神道廃止令』 昭和20年12月15日
マッカーサー日本占領軍(GHQ)による、日本の弱体化政策の最初の命令(指令)が『国家神道廃止令』でした。厚木飛行場にマッカーサー司令官が降り立ってから、僅か3ヶ月しか経っていません。GHQは、日本の軍隊が勇猛果敢だったのも、日本国民が一致団結して頑張ったのも、神社が大きな役割を果たしていたと分析して、恐れていたのです。 はじめは、伊勢大神宮、熱田神宮、明治神宮等を取り壊そうという案も出ましたが、バチカン王国からGHQに派遣されていた宗教の専門家が、『敗戦国と言えども、その固有の宗教は尊重すべきだ』と提言したので『神道指令』になりました。 現在、大きな政治・社会の話題となっている『靖国神社』の諸問題は、この『神道指令』が尾を引いているのです。
2、『修身・日本歴史および地理の停止』GHQ指令 昭和20年12月31日
GHQは、日本人独特の強固な精神性・愛国心を弱体化させるため、第一弾が『神社追放』、第二弾が『修身追放』を仕掛けてきました。 学校教育から、日本人の精神形成の中心だった『修身教育』を、占領軍の強権で廃止すれば徐々に日本人の魂は失われていくという、冷徹な作戦を展開したのです。 「ペンは剣より強し」。百万の大軍で日本を支配するよりも、教育を支配して、日本人の魂を抜き取る作戦を選択したのです。 戦後60年間の日本の教育界の変遷、教育崩壊の歴史を振返ってみると、GHQの思惑は見事に的中しています。 しかも、当の日本人には、GHQに『してやられた』との意識すらないのです。
3、『公職追放』 昭和21年1月と22年1月の2回

筆者は、敗戦で高級軍人や政府の指導的立場にあった人達が、GHQ(占領軍)に責任を取らされたのは仕方のないことだと思いますが、この20万3660人に及ぶ『公職追放』は酷すぎる、と憤慨していました。 田舎の村長さんや町長さん、在郷軍人会や愛国婦人会の会長さん、県の主な指導者など、20万3660人を追放してしまえば、日本全土から、まともなリーダーは居なくなります。長年、外国人に羨ましがられた、古き良き時代の日本の順風美俗・精神文明・伝統文化の担い手が消えてしまったのです。 「地震・雷・火事・親父」に変わって、「地震・雷・火事・マッカーサー」に成り下がってしまいました。占領政策としては効果的です。
案の定、日本の隅々まで、この公職追放令は決定的なダメージを与えました。 家庭でも、学校でも、村落でも、リーダーの権威が地に落ち、指導力・説得力が無くなりました。どんなに良い意見を言っても、「それは封建的だ、反民主主義だ、軍国主義だ」の決まり文句で否定されます。 家庭崩壊・地域社会の崩壊・国民意識の崩壊の始まりです。
4、日本国憲法と教育基本法
①われらは、さきに、日本国憲法を確定し民主的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
②われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
③ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
第一条(教育の目的)
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行なわれなければならない。
読んで字のごとく、日本国憲法と教育基本法は表裏一体の関係にあるのです。そもそも日本国憲法自体が、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」他人まかせの作品です。 その他人まかせの日本国憲法のそのまた背中におぶさったのが教育基本法です。 この教育基本法を読んで、日本の政治家や教育者たちは、一体日本の青少年をどのような方法で、どのような国民に育成しよう、と志しているのかお分りでしょうか。
中学生か高校生の美辞麗句を連ねた「民主主義を称える雄弁大会」の作文としてなら合格でしょうが、普遍的・抽象的な民主主義の教育理念を克明に羅列しただけで、それが一国の「教育基本法」とはおそれ入った話です。 日本人本来の心魂の喪失を、これこそ「雄弁」に物語っている何よりの証拠です。
5、日教組教育の成果 『七・五・三の教育』とは

昭和51年1月26日の夕方、草の中でNHKのラジオ放送を聞いていましたら、日教組教育研究集会(1月23日から4日間、大津市で)を取材したNHKの記者による座談会の話が流れてきました。なにげなく聞いていると、『七・五・三の教育』という聞きなれない日本語が再三耳に飛び込んでくるのです。なんのことだろうと不思議に思って注意して聞いていたら次のような意味でした。
公立小学校の低学年(一年~三年)では、授業についてくる児童は七割にすぎず、残りの三割は『落ちこぼれ』ている。高学年(四年~六年)になると、授業についてくる児童は五割しかいなくて、残りの五割はすでに『落ちこぼれ』ている。公立中学校になると、授業についてくる生徒は三割しかいなくて、なんと七割の生徒は『落ちこぼれ』ている。 すなわち、教科書を理解して授業についてくる子どもの割合は『七・五・三』に過ぎない、というのです。30年前の話です。
この『七・五・三の教育』の話は、1万2千人にのぼる日教組の先生や、その支持者の人達が集まった教育研究集会の公式発言をまとめたものですから、日本の教育界の資料としては大変貴重なものです。公立の小・中学生は『七・五・三』の割合で『落ちこぼれ』ているとハッキリしましたが、それでは公立の高校生はどうなっているのでしょうか。
偶然にも、日教組教研集会と時を同じくして発売された雑誌(週刊新潮 51年2月22日号)に、日教組委員長の槇枝元文氏の話が載っています。槇枝氏は、高校生の『落ちこぼれ』は8割と発言しているのです。そうすると、日教組62万の先生方が教えておられる公立小・中・高の学校では、『七・五・三・二』の児童・生徒しか授業が分かっていないことになります。
6、日本の教育改善の方策とは
勿論のこと、日本国憲法と教育基本法の抜本的改正が先決であることは言うまでもありません。続いて日本の歴史と伝統文化に基づく道徳教育の再興です。 明治維新で乱れに乱れた倫理道徳の退廃を正道に復活させたのは、明治23年の教育勅語の発布でした。これを学校教育で、具体的に、効果的に教授するために作成されたのが、明治37年に完成した修身教科書でした。 この二つ(勅語と修身)の教育の効果と影響で、日本の徳育教育の水準が著しく向上して、全世界の学者と為政者の注目を集めることになりました。
(詳細は筆者小池の著書参照)
小池先生のご著書
『修身・日本と世界』 日本館書房価格 2,000円(税込)
『修身』といえば古いとか軍国主義とか思われがちですが、古いどころか国際的に通用する立派な教訓といえます。 日本の修身は今や世界各国のお手本になっており、本書は明治から昭和にかけて発行された教科書と、行儀作法の本などから整理して、まとめられています。さらに、諸外国の道徳教育の資料も追加されています。
『30年前に日教組と教育基本法を骨抜きにした本』 日本館書房 価格 1,500円(税込)
たった一人で東大教授等31名の日教組講師団を震撼させた警世の書。本書は、著者の書「親と子の勉強大作戦」「有名小中高の入試必勝法」の一部を転載してまとめられたものです。
『教育勅語絵巻物語』 日本館書房 価格 2,000円(税込)
前半は、明治23年10月30日の教育勅語発布当時の、芳川顕正文部大臣、山縣有朋総理大臣、石井昇一郎岩手県知事の談話を中心とした教育勅語成立史の解説。後半は青少年にも内容が理解できるように教育勅語の詳しい現代語訳と、カラー版で天照大神、神武天皇、仁徳天皇などの事例をとり入れて解説してあります。
『平成天皇 青春の日々』 日本館書房 価格 2,000円(税込)
元学習院御用掛 高杉善治 編者 小池松次
明仁天皇の青春をちりばめた秘録。皇太子時代の戦争体験、戦後の海外に向けて日本を大きく印象づけた皇室外交の成果など、世に知られざる秘話が率直で虚飾なくありのままの事実が叙述されています。