[文化づくり]国際文化交流の推進と援助

CMF対談

今こそ神話と昭和天皇の御遺徳を見直そう -CMF国際財団会報誌『ISC』Vol.63より-

広島木原秀成の国づくり人づくり奮闘記』にも掲載しております。ご覧ください。

大宇宙の法則や摂理を忘れない
木原 出雲井先生、ご多忙な所お時間を頂き、ありがとうございます。 出雲井先生とは以前から是非お会いしたいと思っておりました。
私は、伊勢神宮に事あるごとにお参りしており、 そこで先生の「教科書が教えない日本神話」の本を見つけ、読ませていただきました。
と言いますのも、私はかねがね日本の歴史から神話が消されたことを危惧しており、 これからの日本を考える時には、教育基本法の問題等々がありますが、 神話や歴史教育が非常に大事と考えていたからです。

出雲井 ありがとうございます。
木原先生のようにお考え下さる方がいらっしゃるということは、 私にとって非常にありがたいことです。
「日本の神話」とはご存知の通り、 我が国で最も古い文献である「古事記」の神代の巻のことを 「日本の神話」「日本の神様のお話」と申します。 私たち日本人の遠い遠いご先祖様である古代人は、実に偉大で、 現代の科学や文明に勝るとも劣らない叡智には、目を見はるばかりです。
とても素晴らしい感性で、大宇宙の法則や摂理を見事に感じ取って、 代々神話として語りついできました。
三種の神器は日本の国の理法
木原 私は、終戦の年に生まれましたが、 幼少の頃はまだ母親から神話が語られていましたね。 意味はわからなかったのですが、何か見えないものの存在と言いましょうか。畏敬のような、神秘的なような…。日本の文明・文化の中に「日本神話」は大事な位置づけにあると思います。

出雲井 現在の危機的状況は、何が原因かと考えますと、やはり61年前の敗戦にいきつきます。
昭和20年12月15日の神道指令で神話が消されてしまいました。神話の最初に、天津神からイザナギ・イザナミ様が、 アメノヌボコを頂いて天下って来られ、 このただよえる国を修り理め固めなせ、 という教えから始まり、その次は国譲りで、 天照大神がもう一度ニニギノミコトに三種の神器を託されるわけです。
三種の神器とは、日本の国の理法です。 今の人達は目に見える天皇様や皇室と考えるからおかしくなりますが、 天皇とは三種の神器の精神そのものなのです。

木原 根源性の精神ですね。 イギリスの歴史学者アーノルド・トインビーは 「12、13才くらいまでにその民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく亡んでいる」 と言っています。 まさに、民族が国が滅びることになる。
その意味あって、 私は縄文時代から育んできた文明・文化の中に、運命観・成功観・幸福観があると確信し、 多分、世界で初めてだと思いますが、「運命創造学」を確立しました。

天皇の無私の御心
出雲井 今の教育荒廃についても言えることですが、 昭和23年の6月19日に、GHQが衆参両院に圧力をかけて、 教育勅語を斬った日、昭和天皇が「昭和23年の折に触れて」と題して 「悲しくも戦いのためきられつる文の林をしげらしめばや」という御製があります。
昭和天皇はこの時すでに、今の教育荒廃をお見通しだったのです。
教育勅語は神話の頃からの精神を全部盛り込んであり、 そういう精神を知らない方々が論議しても意味が無いのです。
木原 まさしく、戦後処理の中で、私たちに培われた歴史・伝統・文化そして精神性がすべて、 GHQの政策の中で壊されてしまったその顕著な例の一つが、教育の崩壊ですね。
それと、日本が岐路に立っている今こそ、万世一系二千年の歴史ある皇室の価値を明確にするべきだと思うのです。
昭和天皇の戦争責任の是非論の奥に秘められている「無私の心」を お察ししなければならないと思います。 そして、日本の国体の中心に象徴天皇がおられる事をはっきりさせなければ、この国はまとまらないと思うのです。

出雲井 そのとおりだと思います。アインシュタインも日本に来られた時に、「日本の皇室が中心にならなければ、平和にはなりません」と言われたそうです。

天皇の無私の御心
木原 真実は歴史の検証に任せるとして、第二次世界大戦中、日本が追い詰められ、いよいよ敗戦が濃厚になり、東條英機首相が原爆をもって起死回生をしようとした時、 二度にわたり昭和天皇が止められたそうです。
当時のことを杉山元帥が涙を流して、広島の国士岩田幸雄さんに話されたそうです。その事を岩田さんもずっと内密にされていたそうですが、呉市(広島県)に住んでいる河内正臣氏、他2名の方にお話されたそうです。
それに関連した記事が平成2年6月14日の中国新聞・夕刊に掲載されました。
潜水艦2隻でウランを運んでくる途中1隻が撃沈、ウランが行方不明になりましたが、それを隠しておいて米大使館に買ってくれと来た者が捕まったという記事です。
また、昭和天皇が途中で講和条約というお話をされても、軍部が戦争を続けたそうです。

出雲井 昭和天皇は日本人が悪の宗家になるから、絶対に駄目だと仰せられたのです。それは真珠湾の時からのお考えです。しかし、現実は東條さんがトップで、 みんな背後の陸軍を恐れて天皇様の仰せを謹んで承らなかった。

天皇のお言葉をたどると、戦争放棄の第9条は昭和天皇のご意思であり、 日本の国は大和が原点です。

木原 敗戦ではなく、「終戦」となり、日本の歴史から永劫戦争を終わらせるという決断をされたのは 昭和天皇で、これについては、いろんな意見があるようですが、憲法9条にある、世界平和の礎を作ったのは昭和天皇だという事が、昭和21年3月6日の官報に掲載されています。

神話の国譲りの時も話し合いで解決
出雲井 「兵の威を借らずして居ながらにして天下を平けん」と、神武天皇がご即位の時に仰せられたとあります。
出雲の国譲りの時も話し合いで解決しました。 昭和天皇の「少し譲ってでも話し合いで解決するように」という仰せを謹んで承っていれば、 戦争にはならなかったはず。
もちろん自分の国の防衛は自分達がしなければいけないことは 天照大神が教えてくださっていますが、それと原爆は別です。
今、核保有論議がされていますが、当たり前の事です。 憲法9条に頼れば国が守られるという考えは、錯覚です。
木原 日本も専守防衛としての目を光らせ、こちらから仕掛けたりはしないが、 毅然とした態度は見せておかねばなりません。
この国は20~30年したら解体
出雲井 そうです。アメリカはいつまでも日本を守ってはくれません。
昭和天皇は本当に無私の御心で、国の事ばかり考えておられました。
靖国神社問題も東京招魂社として明治天皇が 「戊辰戦争の戦没者」を祀る為に創建され、 以降日本の為に命をささげた戦没者、英霊を祭神として祀っています。 ですからこれも筋道を立てて、A級戦犯とされた方々は、別の興亜観音にお移り頂ければ済むのです。今の若者達はわからないから、洗脳されて天皇様はお参りしなくても良いなどと言いますけれど、 それは間違いです。

木原 何が大事なのか、筋道は何なのか、若者に限らず、この国の舵取りをされている政治家の先生にも こういう本質がわかっていない方が多いようですし、国民も平和ボケしているように思えてなりません。
だからこそ、この日本国のため、かと言って右翼・左翼とかではなく仲翼の精神で、 本当の事を国民に理解してもらわなければと、 私はCMF地球運動を起こしたのです。
でなければ、この国は20~30年したら解体すると思っています。
昨年開いた「第2回 夢・地球交響博」で、熊本の幣立神宮の春木伸哉宮司にご講演いただきましたが、やはり神社庁も行動を起こさないと駄目だと。仏教の世界も同じです。 本来の宗教が魅力を失い、国民から遠ざかっている。目覚めた人達が行動を起こすしかないと思っています。
国民運動に高めて女性と若者に期待
出雲井 神社庁の姿勢も皇室中心ではなく、エゴイズムにマインドコントロールされて、 神社の利益が第一のところがある。 そうではないという気持ちで私産すべてを寄付しました。
神話の講義でも、自分の幸せだけを願っても幸せになれない事を強調して、神話を広めましょうと申します。 そうすれば本当に、自殺やいじめは無くなります。
「ええじゃないか、ええじゃないか」 という民衆運動が昔、起こりましたが、そういう風にならないかと。

木原 私も一生懸命そういう話をしますが、国民の関心が本当に薄いと感じております。 だからこそ、国民運動に高めて、それも女性と若者に期待をかけてやらなければと思っています。
この度、日本の将来ビジョンを9つの立国構想としてまとめた 『誇れる国づくり・魅力ある人づくり』 を出版します。
『昭和天皇』の本を一家に一冊運動
出雲井 私も「日本神話」の中に託されている幸せへの道しるべを途絶えさせてしまっては、ご先祖様にも次の世代にも申し訳ないと思い、21年間の仕事の成果や頂いた報酬全て(絵画170点、書籍105冊、寄付金全て含む)を平成15年2月6日、財団法人国民精神研修財団へ寄付いたしました。昭和天皇の無私の御心を爪の垢ほども見習おうと。

木原 やはり国家の幸せ、国民の幸せなどという大きなことをする者の志としては、 無私の心が必要ですね。私も同じ境遇であります。私財すべてを投じてかからないと本当にできませんね。

出雲井 私は今、『昭和天皇』という本を一家に一冊運動を広げています。 人様に勧める為には、自分の印税目当てと思われたら困るので、 神社庁の総長にこれは寄託しています。
願わくば『明治神宮』ほどの敷地に『昭和神宮』を作って、皆が盛り上がれば、日本の根源性が甦ると思います。

国名は残っても日本ではなくなる
木原 なるほど、それが実現しますと昭和天皇の「無私の御心」が顕現されることになりますね。

出雲井 はい、皆に昭和天皇の無私の御心をわかっていただく為、がんばります。
日本の神話をマンガや物語で出版しているのがありますが、心がわからない。皆にその精神をわかって頂けたら、私はいつでも出雲井晶の名前を取るつもりです。

木原 なるほど。 私は、昭和天皇は霊的なお力があられたのではないかと思っています。
このままですと、30年後には、「天皇」が何かもわからない国になる気がします。また、本当に日本の国体は何か、三種の神器の精神とは何か。 それを伝えていかないとこの国は、国名は残っても日本ではなくなると危惧しております。
先生の『昭和天皇』のご著書が一家に一冊あるという事は、とても尊いことですね。
財団でも運動のお手伝いをさせていただきます。

出雲井 ありがとうございます。
これからは、昭和天皇と日本の神話を教え伝えていく事です。
私は神話の講義をする時、昭和天皇の無私の御心の事も織り交ぜてしています。今こそ、若い方々に、引き継いで頂きたいのです。
興味がございましたら、是非「日本の神話」伝承館へもご来館くださいませ。

木原 本日は、ありがとうございました。貴重なお話を聞かせていただき、今、推進しているCMF地球運動に大変勇気をいただきました。
先生もご健康にはお気をつけて、ますますのご活躍をお祈りしております。

出雲井 晶(いずもい あき)
作家・日本画家・出雲井晶「日本の神話」伝承館館長。
日本神話伝承の文筆活動を行うと共に、教育問題、婦人問題、日本神話伝承などの講演活動も行っている。日本文芸大賞女流文学奨励賞、池内祥三文学奨励賞、神道文化奨励賞を受賞。文化庁長官表彰、勲四等瑞宝章受章。日本神話を広め人々に感動を与えたとして平成11年度文部大臣表彰。日仏現代美術展、パリ・ル・サロン展など入選。美術協会大賞、文部大臣賞(2回)、内閣総理大臣賞(2回)など受賞。日本現代美術家連盟常任理事。日本会議代表委員。国民精神研修財団理事。