[社会づくり]人間環境事業の推進と援助

CMF対談

小池松次 餓死迫る日本  世界のお手本 修身教育

小池松次(こいけまつじ) あすか会教育研究所代表】
昭和3年佐賀県生れ。長崎青年師範学校(現:長崎大学)を経て、東京教育大学教育学科(現:筑波大学)卒。幼稚園から大学まで幅広く
教育学の実習と講義の実務に専念、教育再建を提案し続けている。
著書「修身・日本と世界」は、徳育指導・国民教育の貴重な資料として世界的に認められ、1996年には、TIME誌に授業風景が掲載された。国際比較教育研究所元所長。あすか会教育研究所代表・NPO法人「竹の会」副会長。

崩壊する日本の教育に立ち向かう
木原 そのもう1つの道徳教育ですが、私はある意味においては、全ては教育だと思います。
私はこの国の教育、子供たちの未来を非常に危惧しているのですが、先生は教育の原点から、何がこの国に必要とお考えですか?

小池 それは単純明快です。
日本がもともと持っていた教育は素晴らしいのです。その証拠に、世界の教育の参考になっているからです。

しかし、日本は歴史で2度、教育を壊されています。明治維新と昭和20年の戦後処理です。
どちらも同じ現象です。それまでの日本の伝統は全て古いと。なんでもかんでも舶来だ、欧米化だと。
その結果、日本の伝統が廃れて、もう社会が成り立たない。学校も成り立たなくなった。

明治維新から20年後、教育の最高責任者、各県の県知事さんが東京で全国知事会で集まると、話は全部小学校の話だったんです。
世の中が乱れて、生徒は集まらないし、教育が成り立たないと。それと同じことが、マッカーサーによって行われました。
第二の日本の伝統文化が廃れた時代なんですよ。
要するに暴力、不法行為が蔓延するし、何とかしなきゃいけないというので、そこで何年も苦労して出来上がったのが、昭和23年11月3日の教育勅語でした。
そのいきさつを、その内容ではなく、なぜ教育勅語を作らなきゃならなかったかというのが、私の本の『教育勅語絵巻物語』です。

戦後の日本の教育を立て直すためには、道徳教育の復興だということで、修身の復活運動を丸40年やっています。
ペンは剣よりも強いと言うように、修身の本を何冊も書きましてね。それが今も続いているんですが、1番の癌は、日本国憲法と教育基本法でした。
また、いくら道徳の運動をやりましても、教育問題はお金にならないんです。まだまだ恵まれていませんよね。
それでも目には見えませんけど、底流ではやはり生きていますよ。



  


  
  
木原 生きていますか、安心しました。

小池 種もまかなきゃいけない、まかない種は生えない。
お陰様で私の講演に集まってくれる人は少ないけれども、やはり無駄じゃないです。
必ず何年か経つと、また生き返ります。有難い事です。
 
木原 私も、人生相談したり人の生き方を教えていますが、時代が変化して、子供の環境も非常に危なくなり、教育現場も大変です。だから、なぜ先生の活動が広がらないのかと疑問に思いっていますよ。しかし、いよいよ先生の仰る修身、あるいは倫理道徳はこれから、社会が求めていくんじゃないかと思います。


道徳教育 50年の闘い
小池 時代がそうなります。
今目に見える親殺し子殺しとか、社会悪の殺人とか、本当に可愛そうな犠牲者だと思っています。
善悪が分からないから犯罪を起こす。子育てが分からないから悪い子が出来る。親子の愛情を教えないから親不孝するんです。

たまたま安倍政権では、最初からいじめ問題でしたよね。政府や教育委員会が半年間騒ぎました。ところが、どんなに騒いでも、いじめ問題は増えると、私はずっと言ってきました。
なぜかというと、いじめている子供たちは、善悪が分からないからいじめている。その子供は親から人生の生き方を教わっていないんです。だから子供は親の犠牲者です。

さらに、親は学校で人生の生き方を教わっていないんです。悪いのは国です。政府、日本の国家です。
それは学校教育を間違ったからなんです。国の教育政策は教科書です。そこから直そうというのが私の50年間の運動だったんです。

やっと、これまでやってきた事が間もなく日の目を見ます。そうだこれをやらなかったから日本の社会が、家庭が、日本の子供がここまで哀れな存在になったんだという事が、必ず反省されます。私の出番は死んでからだとおもっていまいたが、もう少しで出番になりそうですよ。
 



木原 先生のように活動している方は本当に少ないと感じます。私も現場に関わっていますが、どれだけ立派な論理があっても、それを具体的に実証して形にしていくことは本当に大変です。
教育は、本当に現場で汗を流したり、血が通わないといけませんよね。
先生は長年ご苦労されてこられました。また一方では時代の流れが来ていると。そうなりますと、何か燃えてきますよ。

先生の国語のご著書に書いてあるように、まさに国語が廃れるとその国はダメになる。
最近では、英語を重視という事になってきています。私は国語教育をしっかりして、プラス英語ということなら良いと思うのですが、どうも違和感があります。
国際化の為に英語というのであれば、国語も日本の歴史も尚更バランス良く取り組まなければ、国際社会に出て、恥をかくことになります。
しかし先生と3年位前、対談をさせて頂いてから、がらっと環境が変わりましたね。また、こうして対談させていただき、何だかこれは希望が出たと。やらなきゃいけないという事をつくづく感じました。
 
小池 生きているうちに出番が来たというのは、天佑神助ですね。

木原 そう神図り。しかしそれは先生が40年おやりになって来たからこそです。
本当にまじめに真剣にやるべき事で、私どもも色々な方が集まって来ているので、こういうことを話せる場を、できるだけこれからも作って頂きたいし、これからも是非ご活躍頂きたい。
CMF地球運動の中でも、先生のご著書を是非、出版させて頂く企画をしていきたいと思います し、これからもよろしくお付き合いください。
今日はどうもありがとうございました。

小池 どうぞお力をお貸しください。どうもありがとうございました。
 

小池先生のご著書紹介