2008年は、「振り込め詐欺(恐喝)」事件の被害額が過去最高ペースで増加しているという。
少しその実体をまとめてみると・・
- 10月末時点での被害総額は、何と251億円 (警視庁HPより)
- 被害者は圧倒的にお年寄り
- 4人に1人がなんらかのかたちで、電話やハガキ、メールなどを受け取っている
- 目立つのは携帯電話を利用して金融機関のATMから送金させる
振り込め詐欺の種類
「振り込め詐欺(恐喝)」事件は、おおまかに4つのケースがある(金融庁HPより)。
(1)オレオレ(なりすまし)詐欺
被害者の約7割は女性。60歳代女性が全体の約3割。
電話を利用して、親族・弁護士・警察官などを装い、
交通事故の示談金などを口座に振り込ませるなどしてだまし取る詐欺。
親族になりすます際、名乗らず「オレ、オレ」と言ったことから、この呼称が出来た
(2)架空請求
被害者は20~30歳代の男性が全体の約6割。
郵便、インターネットなどを利用して、不特定多数の者に架空事実を口実とした料金を請求するなどして、
現金を口座に振り込ませるなどしてだまし取る詐欺。
(3)融資保証金詐欺
30~50歳代の男性被害者が全体の約4割。
実際には融資するつもりがないにも関わらず、融資する旨の文書などを送りつけ、
申し込んできた者から保証金などを名目に、現金を口座に振り込ませるなどしてだまし取る詐欺。
(4)還付金等詐欺
被害者の約7割が女性。50歳代以上の女性が全体の約6割。
税務署や社会保険事務所を騙り、税金の還付金などに必要な手続きを装ってATMを操作させ、
口座間送金により現金をだまし取る詐欺。
新手の悪質商法
ここ数年、高齢者を狙った悪質商法も急増中だ。
2004年度 10万件超
2007年度 約11万件(国民生活センター相談全体の10%)

2008年上半期の振り込め詐欺の認知件数は9874件。被害総額は137億4481万5561円で、
検挙件数は1053件である。
クリックリサーチの調査で「5割は振り込めにだまされない自信あり」との結果が出ているが、
被害件数は過去最悪のペースで拡大しているという。
名目は会社でのトラブルや横領の補填金が一番多く、サラ金など借金返済名目が次いでいる。
以前は、「オレオレ」といって電話をかけてくることから「オレオレ詐欺」などと言われていたが、
2004年に「振り込め詐欺」と名称が統一された。
「振り込め詐欺」の現状(より)
その一つに「ロコ・ロンドン貴金属取引」という詐欺がある
金の価格変動を予想した先物取引を悪用した詐欺。2006年秋頃から被害が増え始めている。
「ロコ」とは、~に於いて、~渡しといった意味で、
「ロコ・ロンドン金取引」といえば「ロンドンで金を受け渡しする取引」という意味。
この取引は、業者が契約者から証拠金(保証金)を預かり、
それを担保にしてロンドン市場で金の先物取引を行う。
証拠金の数十倍の取引を行うことができるが、損失が出た際には、
損失額が証拠金を大きく上回る可能性もある。
証拠金取引なので、契約者が金の現物を手に入れることはない。
詐欺の実例 70歳代女性の場合:たった2日で105万の損失

複数の営業員から「金がすごく値上がりしている」「年6%の金利が付く」なとど勧誘され、
取引の仕組みをよく理解しないまま120万円分を契約して支払いを済ませた。
その翌日、業者から「300万円追加すればさらに儲かる」と言われ、
貯金をおろせなかったため断ったところ、
業者からは「もう既に(300万円分)買ってしまった」と言われた。
不信感を募らせた女性は、翌日になって解約を申し出たところ、
「120万円のうち、返金は約15万円になる」と言われ、
わずか2日間で105万円の損をすることになってしまった。
その他の例
- 約1か月で420万円も損した例
- 損害が出ても「追加投資をして損を取り返しましょう」といった誘いに乗って、結果的に傷を深くする例
- 実際には取引をしていないにもかかわらず、あたかも取引をして損失を被ったように見せかけ
(いずれも、国民生活センターに寄せられたもの)
被害者にならない為に
いずれも被害者の心理状態を巧妙に操った、悪質で卑劣な犯行である。
警視庁では被害に遭わないために次のような呼びかけをしてる。
●警視庁の呼びかけ
- 「すぐに振り込まない」「一人で振り込まない」
- 少しでも不審なこと、心配に思うことがあれば、最寄りの警察にすぐに連絡をする
- しくみが理解できない投資には手を出さない
- どれだけせかされても誰かに相談をする事
●騙されやすい人
自分は大丈夫、と思っている人
アメリカの金融危機が招いた世界的な不況は、
日本でも大量の契約社員の突然の解雇という問題を引き起こしている。
また、平成4年のバブル崩壊以降、銀行の利子もほとんどないに等しい。
食品の値上がりといった生活費を圧迫している状況も否めない。
そんな中で将来の為に、少しでもお金を増やしておきたいという気持ちは誰でも当然のことである。
だからこそ、騙されてはいけないのだ。確かに騙す相手は悪い。
しかし、その手口に乗ってしまっては、犯罪を生み出す手助けをしているようなものである。
近代においては、小豆相場や株で大損をしたとか、家を潰したとか、そういった話はいくらもある。
専門家でも100%を予測しえるものではない。
お金はいのちの次に大切なものだ。お金は怨みを招く要因でもある。
万が一、おいしい話に乗るのであれば、はき出したお金は返らないものというくらいの
心構えが必要なのではないだろうか。
生活を充実させるためには、お金は不可欠なものである。
しかし、それと同様に、騙されない、また騙しをさせない、
そういった人間性の構築が現代社会ほど必要になっているのである。
生活の充実(=国づくり)と人間性の構築(=人づくり)その両輪を構築しようとしているのが、
9つの未来構想なのである。