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守るべき日本の国益


日本の危機
私は法務省の外局である公安調査庁で、対外情報収集活動の仕事を36年間してきた。退官して14年が経つが、情報活動に携わってきた私には、複雑な国際情勢の底を流れる歴史の潮流を捉えながら、将来を予見する職業的習性が身についている。混迷を深める国際情勢から見て、現在の日本ほど亡国の危機に瀕している時はない。  

今日の国際社会は、政治力や経済力、特に軍事力において優位に立つ国が世界を支配し、思うがままに国際機関を動かし、国際法を踏みにじり、自由自在に世界を動かしている。国際協調といっても、本心は国益のためだ。これが現実である。

その中で、日本が独立自尊の国家として、このような国際社会に伍していくためには、国民の一人ひとりが日本国民たる自覚と国家意識をもつことが、不可欠の前提だが、さらに言えば、日本が立ち向かわなければならない国際社会の現実や日本を取り巻く諸外国の意向、その世界 戦略や対日政策の本当の狙いを、常に把握しておかなければならない。そしてそれを踏まえて、的確な国家戦略を構築する必要がある。それがなければ国益、つまり日本国民の安全と繁栄を守り、追求する適切な対外政策は展開できない。


日本の情報防衛
私は外交における情報の重要性を熟知している。世界の主要な国々は、第二次世界大戦後、過去の苦い経験を踏まえて、いずれも強大な中央情報機関を設立し、自らの判断で、国民の安全と繁栄を守ろうとしている。そして、わが国だけが、そのような中央情報機関の設立を拒否し、不可欠な対外情報を友好国、特にアメリカに依存しているのが現状である。しかし、たとえ最も親しい友好国といえども、自国に都合の悪い情報は提供してくれないし、決して自国の国益に反する情報などくれるわけがない。自国と情勢判断を一致させるためだ。

外国の情報に依存するということは、その国の意向に沿った政策しか採用できないということである。何が国益かを判断することは、必ずしも容易ではないが、常にアメリカに従属した対外政策を展開することは、国際社会のなかでの日本の存在を軽くするばかりでなく、最近の国際情勢からみても、必ずしも日本の国益にはならないだろう。 


対日政策
国防もしかりである。日米安全保障条約のもとで、「アメリカに守ってもらえる」という意識は禁物である。永遠の同盟国などあり得ない。日本がアメリカの国益に沿わない存在になれば、すぐに捨てられるだろう。アメリカは特殊な人工国家だから、自分たちの価値観に基づいた自由と民主主義を強要する。マスコミもそれに乗せられて、さも日本固有の制度ではグローバル化の波に乗り遅れるかのように宣伝する。

しかし、欧米の価値観が絶対的なものなのか。それによって、世界の秩序が決められてもいいものなのか。断じて違う。アメリカの圧力によって日本の伝統的な価値観が崩されてきたのは、国家のあり方だけでなく、企業のあり方や雇用形態など一事が万事で、政治・経済・外交・安保において、無意識のうちに日本は常にアメリカのコントロール下に置かれてきた。アメリカに限らず、諸外国の対日政策には総じて隠された目的がある。そして隠された目的こそ、真の目的にほかならない。

今後もアメリカは彼らの価値観で日本に無理難題を押しつけ続けるだろう。「価値観を共有する日米両国」と主張する政治家が日本にも数多くいるが、歴史も文化も国の成り立ちもまったく異なる両国が、価値観を共有することなど不可能に近い。お互いに良いところを取り入れるというのなら、まだ救われる。

ところが「民主主義」「自由主義」「市場経済」という名のもとに、欧米の価値観を一方的に押しつけてくる。しかし、それらは価値観ではなくて、政治制度や経済システムだ。そのままでは悠久の歴史で培ってきた日本人のアイデンティティーが抹殺されることにもなりかねない。真の友好は、お互いの価値観の違いを認め合ってこそ築けるものだ。進むべき道を誤れば、日本は骨抜きにされてしまう。


日本の使命
日本には「和をもって尊しとなす」「一君万民」といった価値観に基づいた、素晴らしい文化や伝統、コミュニティー、アイデンティティーがある。私たちは、もっとこの国に誇りを持って、日本ならではの社会の仕組みを再構築すべきだ。欧米からのお仕着せではなく、日本には日本の自由や民主主義がある。根本が決定的に違う私たちのやり方がある。その認識を持ったうえで、外交を展開していかなければならない。  

明治時代の日本の指導者たちは、国家存亡の危機に際して日本の独立自尊のために、知恵を絞った。資金すら底をついた日本が生き抜いていく方策を、真剣に考えた。そしてあらゆる難局を乗り越えてきた。私たちは、そういう先人たちに学ぶことがたくさんある。そこで最も重要になるのは、常に国益に沿った外交を展開するということだ。未来を考えるときは、愛するこの国のためを思うこと。そうして初めて不可能が可能になってくる。

私たち一人ひとりが真剣に考えれば、いい知恵が出てくる。日本がこの危機を乗り越える打開策は、必ず見いだせるのだ。日本はこの難局を切り抜け、絶対に生き残らなければならない。そしてこの国の素晴らしい伝統や文化を後世に伝えていくことが、我々の使命ではないか。