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《『政(まつりごと)の心』を求めて》 第86回 ―「 日本政治の現状(48) 」―
「籠抜け詐欺」の第二次菅改造内閣

近代民主国家の中に分類されている『日本』で、こんな「不条理」が白昼に行われた。議会政治に約50年にわたり関わってきた私にとっては、死ぬに死にきれない心境である。どんなところが「不条理」か、国民のみなさんにぜひ理解してもらいたい。


第一に、与謝野馨氏を経済財政大臣に一本釣したことである。与謝野氏は、自民党の小泉・安倍・福田・麻生内閣で経済財政問題の中核として、政策を立案して実行してきた政治家である。いわば現在の経済や財政を破綻させた責任者で、今日の格差社会をつくった本人である。入閣の前日「たちあがれ日本」を離党し、無所属になったとはいえ、一昨年の総選挙では自民党公認で落選し比例で復活したばかりである。


与謝野氏にとって「財政再建・消費税増税」は、自民党時代からの政治信条である。これを菅首相が政策と人物を買ったわけで、菅内閣は実質的に「自民党政権」と同質になったといえる。民主党政権という籠に自民党という鳥を入れ替えたのである。もっとも菅政権発足時から、政権交代の公約に反した意向をしばしば示していた。それにしても、ここまで国民との約束を踏みにじり、政治的不倫を断行するとは、政治の常道を破壊させるものである。日本政治の崩壊が始まった。


第二は、枝野幹事長代理を仙谷氏の後任の官房長官に任命したことは、先進国に先例のない「憲政の常道に反する」人事である。政治の行為や判断は、法令の詳細とは異質のものがある。参院選挙で惨敗し責任もとらず、党の要職を続け「中国は隣の悪人」とまで放言した人物を抜擢したことに、どんな背景があったのか。菅首相の性格がよく現われた人事である。


戦後、官房長官に弁護士政治家が就任したのは、仙谷氏が初めてだと私は記憶している。それは官房長官後という国家経営の要職は、弁護士の発想や感性ではやっていけない異質性があるからだ。仙谷氏が官房長官として失敗した主な原因はここにある。政権を国民のため適切に運営する「ガバナビリティ」(統治能力)とは、法令による強制的支配のことではない。それは「戦略的自己抑制能力」のことだ。法令の解釈や三百代言だけで、国家運営ができると思っているなら、大失敗となろう。


第三は、江田前参院議長が法務大臣に就任したことである。参院議長といえば衆院議長と共に「三権の長」といわれ、国権の最高機関の長として退職後は、政治だけでなく日本国全体を総観していく立場である。その人物をどんな理由で起用したか問題がある。田中内閣時代、中村梅吉衆院議長が「野党を騙した」と放言、国会正常化のため辞任し、その後田中首相が借りを返すつもりで、法務大臣にした先例があるが、当時、厳しく批判された。これも「憲政の常道」に反することだ。


江田氏を無理して法務大臣とした背景に、ささやかれている情報がある。それは「小沢問題」が、まもなく本人の検察審査会起訴による裁判、そして秘書の政治収支報告裁判が始まることになる。その真相が麻生政権から始まり、菅・仙谷政権が継承した「政治謀略」であったことが、国民に徐々に理解されはじめている。菅体制の致命傷になりかねない。そのため裁判官の経験もあり法曹界に顔の広い、側近の江田氏を起用したということだ。


それに、78歳のアルコール依存症といわれる大蔵省のOB、元私の友人であった藤井裕久氏の内閣官房副長官の起用も、歴史的に異様なことである。いよいよ、1月24日には通常国会が始まる。第二次菅改造内閣を待っているのは、尖閣列島問題で菅首相の指示で指揮権が発動された問題や、与謝野国務大臣問責決議案が、国会入口の鬼門となろう。