公務員に対しての憲法 通蒙憲法十七条

この憲法の正式名称は「日本国推古憲法」とまず記憶してください。
発布に当たり太子は、群臣百僚を前にして、勿論、主上も御臨席の場で憲法の主旨を説明されました。
その日は推古十二年五月の晴れた日でした。
「なぜ、今上陛下が万国に魁てこの十七条の憲法を定めたかと申すに、上代の人々は帝も臣も、正直な心で事に当たって来たので、人民も邪な心を持たなかった。
だが近年の乱れはいかなるものか、諸卿も御存じのように堪えられぬほど甚だしい。
今の世がこれならば、後の世には人の数も増えて邪悪な者が顕われ、人道を踏みはずす者が多くなるであろう。主上は深くそこに想いを垂れて、本日ここに憲法を公布することと遊ばしたのである。
政り事の乱れは国家の大乱。
ゆえに天子の御心を載して、臣として職分に励んで頂きたい。」 このようなことを述べられたと想像するのですが、そのときの太子のお姿は、どんなだったでしょうか。
この日本第一の聖人は、人の倖せを願うゆえに、心に深く愁いをこめておられたに違いありません。
人間の本質は変わらないものだと太子は言い切っています。だからこそ、千四百年前の憲法が今でも新しいのです。
筑紫哲也さんの「ニュース23」に永六輔さんと出演したとき、永さんがこう言われました。
「通蒙憲法は公務員に対するものだと最近知りましたが、すべての人に当てはまる訓えです。
しかし、この憲法が廃止されたことは聞いておりません。三波さんも聞いていないでしょう?」
「はい」
「ということは、生きている憲法ってことですよ!」
三人で大笑いしてしまいましたが、この憲法からは程遠い現状を想うと、とても侘しくなりました。