地の徳道 政家憲法 第十三条
宰職政を奉るときは、義に止て己を無になせ。
學ぶに禮樂を以てし、勤めるに奉行を以てせよ。
天皇の治御にあらざれば原く所なく、
國家の安全にあらざれば議る所なし。
道心あらざれば腹に實すこと無く、
忠心あらざれば體に實ること無し。
慮う所は宗廟の危うきにありて、我が家のことにあらず。
顧る所は黎民の苦しみにありて、我が身のことにあらず。
公を實じ、私を虚して、其の果を案ざれ。
つかさたちまつりごとをうけたまわるときは、こころをぎにすえておのれをからになせ。
まなぶにれいがくをもつてし、つとめるにぶぎょうをもつてせよ。
みかどのみことのりにあらざればもとづくところなく、
くにいえのやすきことにあらざればはかるところなし。
みちをもとむるこことあらざればはらにみたすことなく、
みかどにまことのこころあらざればわれにみたることなし。
おもうところはみたまやのあやうきにありて、わがやのことにあらず。
かえりみるところはおおみたからのくるしみにありて、わがみのことにあらず。
おおやけをおもんじ、わたくしをむなしうして、そのむくいをおもわざれ。
第十三条
宰職が政治を奉ずるに当たっては、義に注意して私をなくし、学ぶには礼楽をもってし、勤めるには君命を奉じて、天皇の天下を治めること以外に心を用いず、国家の安全に関することでなければ、取り計らうことなく、道心でなければ、腹に入れず、忠のことでなければ、体に実ることなく、思慮するところは、宗廟の安全であって、わが家のことではない。顧るところは人民の苦しみであって、己の身の上ではない。公を重んじ、私を空にし、わが身の果報を思案するべきではない。

〝政治家は、我が家のことより国のこと、我が身のことより国民のことを考えなければいけない。私事よりも公事を重んじ、決して報酬などを期待してはいけない〟ということですね。
太子はここで、政治家としての考え方の基本を説いておられます。