〈国づくり人づくり〉という言葉を聞いて、〈国づくり〉より、まずは〈人づくり〉のほうが大切だ、と思う人がいるかもしれない。もちろん、その逆に考える人もいるかもしれないし、同時併行的に進めるべきだ、と思う方もいるだろう。  

わたし自身は〈国づくり〉=〈人づくり〉と思っているが、ここではなぜ〈人づくり〉の前に〈国づくり〉の言葉が置かれているのか、を考えてみたい。


国づくりは神々が住むべき土地の再生・復活

おそらく、〈国づくり人づくり〉という言葉は、イザナミとイザナギによる、大八島国と神々の誕生という、いわゆる〈国土生み〉の記紀神話にもとづいている、と思われる。ところが記紀神話は、その前にギ・ミ両神の〈失敗〉を記している。すなわち、「子の数」には入れられなかったが、大八島国と神々の誕生以前に、ヒルコ(記・水蛭子、紀・蛭児 とアハシマ(記・淡島、紀・淡洲)が生まれている。    

このヒルコは、天照大神の別名のオホヒルメノムチ(大日 貴)のヒルメ(「日る(ルは格助詞ノに相当)女」の義)に対応する。すなわち、ヒルコは「日る(ノ)子」の義で、イザナギ・イザナミの「子」として認知されなかったものの、いうならば、ある種の未完成の太陽神である。この最初の〝誕生〟が〈失敗〉とされたのは、神々が住むべき土地としての島よりも先に、カミが生まれてしまったからである。  

大八島国の誕生は、ふつう〈クニ(国土)生み〉神話と呼ばれているが、実は、そこではクニではなく、島々が生まれている。記紀は日本の神々が住むべき土地を「島」と名付けているのである。単なる陸地の義ではないのである。日本人は、〝島国〟という語を聞くと、自虐史観の〈島国根性〉に陥って、〝島〟の本質を見失いがちになる。〝島〟が〈神々が住むべき土地〉である、という本義に立ち返れば、〈国づくり〉は〈神々が住むべき土地〉の再生・復活ということになる。

すなわち、〈国づくり〉は神々のための運動ということになる。ここで、神様嫌いの人のためには、〈神々〉を、我々の〈祖霊〉及び〈環境〉〈生態系〉という語に置き換えても良い。要するに、〈国づくり〉には、イザナギ・イザナミの〈国土生み〉神話の原点に立ち返っての、神々が住むべき土地としての〈島づくり〉と、おこがましく、大それた言い方になるかもしれないが〈神づくり〉の義が含まれている。もちろん、ここで、誤解をしないでほしい。〈神づくり〉とは、新しく神を創出することではない。


日本は世界の雛型
戦後教育が、神仏を敬うという日本人が持っていた霊性から抜き取った魂を、イザナギ・イザナミの〈国土生み〉の原点へ回復させよう、という義だ。したがって、〈神づくり〉は〈人づくり〉となる。神々が住まうところは、人が住むべき土地でもある。その土地は神々によって聖別されたシマでなければならない。すなわち、ギ・ミ両神が生んだばかりの大八島国のような、活力溢れるシマ(国土)であらねばなるまい。

そして、この〈大八島国〉とは単なる日本列島のことではない。日本は世界の雛型なのである。古神道家の間では、よく知られていることだが、本州はユーラシア大陸、九州はアフリカ大陸、四国はオーストラリア大陸、北海道は北アメリカ、今は日本領ではないけれど台湾は南アメリカに対応するといわれている。すなわち、日本は文字どおりの〈霊の本つ国〉であり、日本列島(大八島)は五大陸の霊成型(雛型)だという。また、ギ・ミ両神が生んだ最初の島である淡路島そのものが、本州の雛型であるともいわれている。  

すなわち、〈国づくり人づくり〉運動は、日本の立替え・立直しであると同時に、日本的霊性を世界へ知らしめるものであるといえる。実に、雄大・壮大なハタラキのコト(言→事)挙げなのである。

 
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