一般に、強さへの憧れは人間誰でも持っているが為にか、欧米先進国に憧れたり中国に怯えたり、劣等感に苛まれる日本人が多いようだが、異民族の脅威にさらされ、また特に厳しい自然環境の中で闘わなければ生存すら危ぶまれると言った厳しい状況の中で、歴史を築いてきた諸外国の人々とは違い、日本人は、自分を反省する謙虚さ、己への誠実さ、そして何よりも歴史への畏敬の念を持って、神代以来の長い時間を、この島の中で生活してきた。

そのため諸外国とは違う「心の安定を伴う強さ」を発揮してきた世界にも例のない国家であるし、現に、貧富の差、知的格差、衛生状態、犯罪発生率、どれを採ってみても日本は「天国に近い国なのだ」との自覚と自信をもつことが先ずは重要であるといいたい。


日本的倫理観の覚醒
日本人の倫理観・道徳を支えてきたものは「大いなるものとの連続」である。歴史といった 個人の力では如何とも為し難い繋がりの中で、「してはいけないこと」「為さねばならない事」といった共通認識、即ち、倫理観・道徳観が定着した。  

このことを『教育ニ関スル勅語』では明快に論じている。即ち、「我カ皇祖皇宗国ヲ肇ルコト高遠ニ」と冒頭に明記し、日本の国は、何時、誰が興したのかなど分からないくらい、古い昔から連続していると定義し、それを前提に「徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ」、即ち、徳の根拠は、法律第何条とか、誰か絶対の権力者が決めたなどと言うような浅薄なものではなく、「深くて厚いのだ」と簡明に記したのである。実に、見事だ。


繋がりの自覚
外国の心ある思想家が認めているように、日本は「先祖教の国」であり、現代人といえども、「草葉の陰に先祖はいる」と思い「ご先祖様に顔向けできないようなことはしない」といった「日本的倫理観」を心の底には持っている。  

先祖が眠る故郷・ふるさとを恋しく思うからこそ、あの殺人的な交通麻痺や高い交通費もなんのその、年に1~2度は「民族大移動」をするのだ。我々日本人には、ご先祖様、世間様、皆様、そして大自然などとの「繋がりの自覚」こそが有効な「心のブレイキ」になっていたはずなのだ。先祖との繋がりが親族間や親子の繋がりの強固な裏打ちになる。現世の横の繋がりも、昨日や今日の付き合いではなく、先代や先々代を念頭に置ければ深まるものだ。  

ルース・ベネディクトは「日本人は未発達だ」といわんばかりの論文『菊と刀』を書いたが、これを真に受けて、「他人の目・世間の目」を無力化したのが戦後の知識人であったし、近くはアメリカ社会や経済のモデルを賞賛して、「世界でも最も自主性・主体性に欠けた未熟な人間」と、日本をマイナス評価してきたが、昨今の情勢は「優勝劣敗を是とするアメリカ型改革に日本が追随することは危険である」との機運が、世界的に高まってきたのだ。繋がり・関わり合いがもたらすプラスの面をしっかりと自覚した「ゆとりのある、品位・品格のある人間」を育成する堅実な冷静な運動を展開したいものだ。

 
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