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第6章 不平等格差社会の危機
 
そして今、私たち国民が一番問題にしなければならない現代社会の不安は、『不平等格差社会の到来』にあると言っても過言ではありません。

現在の市場経済主義に基づくグローバルスタンダードは、地球規模で経済格差を生じ、どれだけ国が豊かになっても、ますます貧富の二極化が進んでいます。
どんな社会でも格差はあり、努力する者が報われるのは当たり前ですが、平等な機会(チャンス)を与えられた結果の不平等ではなく、最初から不平等な機会(チャンス)しか与えてもらえず、結果も不平等になるのが問題なのです。

今の日本の産業構造は、大企業中心で、中小零細企業は切り捨て御免の不平等産業構造に、ますますなりつつあります。それを後押ししているのが、過度の規制緩和であります。
このような現象は、産業界においては大企業優遇、中小零細企業冷遇の中に既に起こっています。 
大企業は企業全体の0・24%以下でありながら、その大企業に富は集中し、中小零細企業は下請けとして、生かさず殺さずの経営を余儀なくされている現実は数え切れません。その現象そのものが不平等格差社会の特徴なのです。


また、経済に限らずさまざまな分野で不平等格差が広がりつつあります。
 

文化(力)は社会のバロメーター

2004年11月の「ニューズウィーク日本版」に『世界国力ランキング』という特集が掲載されていました。一口に『国力』と言っても、その定義となるとなかなか難しいことだと思いますが、この特集では、安全保障・外交・経済・文化・生活・潜在力の6つの視点から評価しています。
このランキングから、現在の世界情勢を反映した勢力図を垣間見ることができます。

ちなみに、その時のベスト10を掲げてみると、1位アメリカ・2位フランス・3位ドイツ・4位イギリス・5位日本・6位ノルウェー・7位スウェーデン・8位カナダ・9位オーストラリア・10位中国となっており、欧米8カ国、アジア2カ国という現実でした。

私がこの中で特に興味を持ったのは『文化』の特集でした。その誌面の冒頭に、『文明と文化がパワーを生む今の時代には、生活質と国力を測る大事な要素の一つに…』という、ニューへブン大学のウシャ・ヘイリー教授の言葉が載っていました。そして、記事の中に、次のようなことが書かれていたのです。

国の実力は経済的な要素だけで測れるのか。国連開発計画(UNDP)の「人間開発指数」は、生活の質をもっと多面的にとらえようとしている。 
具体的には、平均寿命・教育達成度・国民一人当たりの所得(購買力を基準に算出)の三要素を均等な比重で織り込んで指数化する。
2002年の統計に基づく最新指数によると、世界のトップ5はノルウェー・スウェーデン・オーストラリア・カナダ・オランダ。7位アイスランド・8位アメリカ・日本は9位だった。ほかの主要国は軒並み振るわない。イギリス12位・フランス16位・ドイツ19位・イタリア21位・ロシア57位・ブラジル72位・中国94位・インド127位。

私は、この記事を読んだ時、世界大国と言われている国々がなぜ文化(力)で上位にいないのか不思議に感じました。そして、経済格差による家庭格差・教育格差が起こっており、格差社会そのものの社会現象に他ならないと直感的ヒラメキを感じたのです。
なぜなら、文化(力)はその国の経済レベルを、生活の質から測れるバロメーターであるからです。 
 

日本も格差社会になりつつある

左図は月刊誌「ウェッジ」の2005年3月号に掲載された貯蓄に関する記事です。また、2004年家計の金融資産に関する世論調査のデータによると、自己破産者が急増していますし、日本の将来を担う若者の失業率やニート(若年無就職者)、フリーターの急増は危惧すべき傾向です。






案件が成立しているものも含め、最近の国家の政策案を見てみると、

個人住民税の「均等割り」の増税
「所得割り」の累進税率の廃止
配偶者特別控除の廃止
児童扶養手当の縮小
年少扶養控除の廃止
消費税の増税
児童手当所得制限枠の縮小
医療費控除枠の引き上げ
マル優制度廃止
第3号被保険者制度の廃止
年金受給者への課税強化
訪問看護の国庫補助に上限枠
特別扶養控除の縮小・廃止


既に実施されているものもありますが、これらの内容はまさしく貧乏人冷遇の政策に繋がるように見受けられるのです。
貯蓄・自己破産・貧乏人冷遇政策・失業率の4つの視点から洞察しただけでも、その裏側に見えてくるのは、上流社会と国民の大多数を占めている中流以下との経済格差が、確実に開いているということです。
 

不平等格差社会の恐怖

代表的な事例を6つ挙げてみますが(左頁参照)、これらは大変な危険性を内包しているのです。
このままいけば、ほんの一握りの大企業や上流社会が国家の美味しいところ(権益)を独占してしまい、不平等格差社会を作ることとなり、国民の生活力は衰え、ひいては、文化(力)が衰えてくることになるのです。

大国と言われる先進国が文化(力)で上位に入れない原因がここにあり、まさに不平等格差社会病になっている証拠でもあり、日本も間違いなく同じ道を歩んでおり、その先には大変なことが待ち受けています。
不平等格差社会の到来を回避しなければならない問題の本質は次の7つであります。

一、経済力の低下
二、産業力の低下
三、地域力の低下
四、労働力の低下
五、生活力の低下
六、家庭力の低下
七、教育力の低下


そして結果として、国民の意欲が低下し、国力の低下となり、究極は日本国滅亡のシナリオになるのです。だからこそ、何としても『不平等格差社会の到来』は阻止せねばならないのです。

事実、平成17年12月、野村総合研究所が20代30代を対象に調査したところ、75%の人が意欲の低下と転職を考えているとのことでした。大多数の国民の貯蓄率は低下
し、中小零細企業においては、ますます金詰り現象が深刻化し、ほとんどの企業が倒産の危険性をはらんでしまうのです。
中小零細企業への、国の諸政策はあっても、マクロ的に見れば、大企業中心の経営戦略に組み込まれてしまう産業構造になっており、独自の技術力や製品力などがない限り、人・物・金・情報が充分でないがゆえに、生き残るのが非常に難しい現実であります。
日本の企業の99.76%は中小零細企業ですから、これは大変なことで、究極は全体の産業力が低下することに繋がっていきかねません。


確実に進行しつつある不平等格差現象に、早急に対策を講じなければ、この国はなくなってしまいます。
だからこそ今一度、日本の文明史観や歴史・伝統・政治・経済・文化などの国体から見直す必要があるのです。










 
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